僕の人生で出会った人の中で一番ケチだった人。

いろいろ

僕が23歳の頃。

趣味が高じて、その分野の世界で就職することになる。

結局4年ぐらいで退職するのだが、その時に出会った社長が凄まじいケチだった。

周りが困惑するレベルでケチだったがどこか憎めない、そんな社長の話。

社長の容姿

二代目社長。

当時は55歳~60歳ぐらいだったか。

身長は170cmちょっとぐらい。

体型はかなり細め、ヒョロヒョロ。

目つきはかなり悪い。

口もかなり悪い。

あとカツラ被ってる。

社長はドケチ

社長はとにかくケチである。

ケチなエピソードは数えきれないほどある。

仕事で使うセロテープの長さに文句を言ったり、業者に送るFAXは裏紙を使わないと激オコです。

店舗型の小売業なのに、夏場エアコンの設定温度を下げると電気代が高くなるって事で店内は激暑。

従業員の僕達も店内で働いてるのに汗をブルブル流しながら仕事してた。

もちろん来店してくれるお客さんも暑いから「この店暑いな…」なんて呟きは飽きるぐらい聞いた。

冬はもちろん寒いんだぜ。

普通は小売店で商品欠品が出たら補充するために発注するよね。

「お金勿体ないから注文せんといてくれ」って言われた時は腰を抜かしそうになったよ。

業者向けの新商品展覧会で各店舗代表1人ずつ、社長と計4人で大阪に行った時の昼食。

もちろん社長が昼食代を出してくれるのは当然の流れ。

皆でうどん屋さんに入店して、社長も珍しく「なんでも頼んでいいぞ」って言ってくれた。

とはいえ社長より良いもの頼むのは失礼かな~とか考えながらメニューを見ていた。

社長が頼む商品を見てから決めようと色々候補を考える。

本音は竹輪と玉子の天ぷらが乗ってる「ちくたま天うどん」が食べたいんだよ僕は。

無情にも店員さんが来てくれて社長が放った一言は「ワシ、素うどん」(当時200円ぐらい)

だった。

従業員みんな目を合わせたよ。

僕はちくたま天うどんを頼んだ。

衝撃的だった給料日

ここに勤め始めて3年ぐらい経った頃だったろうか。

まだまだ一人前とは言えませんが、もう仕事にも慣れてるし僕専属のお客さんがポツポツ来てくれるようになった。

先輩方も優しいし何の不満もない。

ただ一点、給料を除いては。

給料はとにかく少なかった。

けどそんなものは入社するときにわかってたし、仕事が楽しかったから幸福度は割と高かった。

突然社長から二階の事務所に上がって来てくれと電話が入る。

ネット販売の発送を僕が担当していたので、その件だろうと思い事務所にあがった。

「最近頑張ってるから給料上げる事にした。これからも頑張ってくれ」って言ってもらい、僕も若かったので大喜び。

年に一度1000円とか2000円しか増えなかった月給がどれくらい増えるのかと楽しみにしていた。

けど社長ケチだからな、5000円上がったらいいなとか妄想が捗る。

そしてやってきた給料日。

今では珍しい現金手渡しの会社で、給料日はみんな機嫌が良い。

昼休憩にメシを食べながら、気になって仕方がなかった給料袋に入ってる給与明細を確認。

30000円も上がってるだと…

特に役職に就いたわけでもないのに月給が3万円も上がるなんて何かおかしい。

あのケチな社長が。

僕は頭が混乱していた。

嬉しさよりも、何かおかしいと。

すぐに店長にだけ相談した。

「すごく相談しづらいのですが、急に給料が3万円も上がったのは嬉しいのですが社長に改めて御礼言った方がいいと思いますか?」みたいな感じの事を聞いたと思う。

そしたら店長が「実は言い辛いんやけどな、店長3人とも給料1万円下がったねん…」って…

そういうことか。

店長3人の下げた給料の分を僕に上乗せしただけだった。

僕は社長の懐の浅さをナメていた。

思い出の味

なんか社長の悪口ばっかりになってしまったが、僕はこの社長の事はなんだかんだ好きだし今の僕があるのは社長のおかげだと思ってる。

社長と従業員の先輩方、あとお客さん達に営業のイロハを教えて貰ったと言っても過言ではない。

社長の下で仕事をしていた頃、年に一度だけ従業員全員を老舗のフグ料理店に連れて行ってくれる。

そこで食べた味が10年近く経った今でも忘れられない。

千鳥足でフラフラになりながら帰っていく社長の後ろ姿もハッキリと目に焼き付いている。

最後に

ケチなのはダメじゃない。

なんなら太っ腹というか、気前の良い人より後々の事を考えてる分良いのかもしれない。

けど上に立つ人間が極度のケチだと周りが付いてこない。

ほどほどが一番だと色々考えさせられた若き日のことでした。


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