前回の続き
新しい総務部長に代わり一年ぐらい経った頃だろうか。
少しずつ、その総務部長が変わり者だという事に周りが気付いていく。
特に女性陣から嫌われている傾向にあった。
言い方に少しトゲがあるというか何というか。
まぁどんな人だろうと、僕とは部署が違うので正直関係なかった。
色々な噂は回ってくるが、「ふーん」って感じ。
飲食部門の僕には関係ね~って知らん顔していたら…
飲食業界どころか、日本、いや世界に激震が走った。
新型コロナウイルスの流行です。
今でこそ身近になったが、流行初期なんて未知のウイルスだったから全国民が恐れおののいた。
第一回目の緊急事態宣言の時は外を出歩いている人がほとんどいなかったぐらい。
当然僕の仕事は大荒れ。
会社が経営してるカフェやタピオカ店なんてお客さんが来るわけがないし大打撃を受けた。
政府からは時短営業を命じられ、一週間カフェを休業したり大変な日々を送っていたが、会社が弁当屋も経営していたのでパートさん達も出勤はしていた。
コロナ流行当初の宅配弁当は需要が高く、僕も応援で弁当の配達などを手伝っていたのでパートさん達と関わることが割と多かった。
気の強いオバちゃんが多かったので、人間関係で小さなモメ事はいつもあったが基本的にはみんないい人ばかり。
弁当の配達にも慣れてきた頃、ふと気付く。
毎日のように出勤していた主力のパートAさんがいない。
無断欠勤ではないようだが、他のパートさん達も欠勤理由は誰も知らない模様。
みんな当然疑心暗鬼になる。
「パートAさん、コロナに感染したんじゃないの?」って。
志村けんさんがコロナウイルスで亡くなったり、味覚が無くなるだの嗅覚が無くなるだので…
とにかくみんなビビりまくっていた。
割と年齢層高い職場だったから余計に。
僕も子供がまだ当時一歳ぐらいだったので、コロナウイルスには気を付けていた。
わざわざパートAさんに電話を掛けて「コロナですか?」なんて聞きづらいし。
他のパートさんも気になってるみたいだし、本来なら直属の部長に確認したいのだが病気で休職中。
まぁそんなこんなで有耶無耶になってしまった。
すると数日後、例の総務部長が突然やってきて飲食部門に所属する社員及びパート全員に対してわざわざ医者まで引き連れてきて抗原検査をするという。
早朝いきなり告げられたので、みんな困惑。
当然みんな疑うよね、やっぱり謎の欠勤が続いてるパートAさんはコロナに感染してたんじゃないかって。
現場がざわついてる中、僕は総務部長にズバリ聞いてみた。
僕「パートAさん、やっぱコロナだったんですか?」
総務部長「私は何も知らないし、君が知る必要もない。会社の指示に従うように。」
ああ、なるほどね。
コレか、この人が嫌われてる理由は。
普段の僕ならこれぐらいで怒ることは無いのだが、この日はブチギレてしまうことになる。
次回完結。
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